電磁ブレーキのエアダンパのご案内
エアダンパの動作説明
ブレーキコイルを励磁すると吸引板(ディスク)が電磁石に吸引され(ギャップが0になる)、ブレーキが開放状態になります。励磁電源を切ると、制動ばねの力により吸引板(ディスク)は電磁石から離反し(ギャップができる)、ブレーキが制動状態になります。
エアダンパのない状態では、吸引板(ディスク)の吸引・離反時に衝撃が発生し、ブレーキや、ブレーキを使用する電動機などにも影響を与えます。
電磁ブレーキのエアダンパは、吸引板(ディスク)の外周にウエアリング(しゅう動材)を取付けて電磁石と吸引板(ディスク)の間のギャップ部をふさぎ、ギャップ部の空気をエアダンパとして利用しています。これにより吸引板(ディスク)の吸引・離反時に発生する衝撃を緩和することができます。
エアダンパの仕組み
①ブレーキの開放時は吸引板(ディスク)の間にある空気が圧縮されることで、吸引板(ディスク)の衝突を緩和して、動作音を軽減します。
②ブレーキの制動時は吸引板(ディスク)の間にある空気が負圧となりバネ力による瞬時の動作を効果的に緩和して、過大制動トルクの発生を防止します。
エアダンパの効果
ブレーキや電動機などへの衝撃が小さくなります。
①吸引板(ディスク)が電磁石から離反したとき(ブレーキ制動状態)にブレーキにかかる衝撃を、計測器(FFT)で測定しました。エアダンパを取付けたときの衝撃は、エアダンパのない状態の1/4程度に小さくなります(75%減少)。
(ブレーキはBDS5-2533Lを使用)
②吸引板(ディスク)が電磁石から離反したとき(ブレーキ制動状態)に電動機にかかる衝撃を、計測器(FMテレメータ)で測定しました。エアダンパのない状態で確認できる制動始めのピークトルク(定常トルクの3倍)が、エアダンパを取付けた場合は発生しません。
(ブレーキはBDS5-2533Lを使用)
ブレーキの寿命が長くなります。
ブレーキにかかる衝撃が小さくなるため、ブレーキの各支点ピン部の摩耗量が減少し、ブレーキの寿命が長くなります。
弊社工場試験例で、300万回繰り返し動作後、各ピン穴の摩耗量の測定では、エアダンパのないブレーキは0.1~0.3㎜に対して、エアダンパを取付けたブレーキは0.02~0.1㎜となっています。(66%減少)
ブレーキ動作音が低くなります。
ブレーキの開放・制動時の音が約10dB位低くなります。特にブレーキが開放状態になるときの金属音(吸引板の衝突音)が緩和されます。